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【おすすめ恋愛小説】涙必須の感動恋愛!!『桜のような僕の恋人』

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 こんにちは、ぽちゃうさです。

ようやくまとめが終わり、初の小説紹介をしてみようと思います!!

今回紹介するのは『桜のような僕の恋人』です!

私の大好きな小説の一つ!うまく良さを伝えられるようブログ初心者頑張ります!

 

 

あらすじ

 カメラマンの夢をあきらめた晴人という青年が、美容師の美咲に一目惚れをします。「彼女と付き合いたい!」という思いで、挫折したカメラマンの名を借りて彼女に近づいていきます。

 しかし、美容師の夢を追い続ける彼女に感化され、もう一度カメラマンの夢を目指します。そこから変わっていく晴人の姿に美咲もひかれていきます。

 夢のことで頭いっぱいで恋愛から離れていた2人は、桜の季節に客と美容師として出会い、ゆっくりと恋に落ちていきます。

 しかし、美咲が人の何十倍もの速さで年老いる難病を発症します。美咲は老いていく姿を晴人にだけは見られたくないと晴人の前から突然姿を消します。突然のことで途方にくれる晴人、老いていくという病を受け止めきれない美咲、そして病気の妹を助けるために奮闘する兄貴司とその兄を支える兄の婚約者・綾乃。

 それぞれの想いが絡み合い、迎える結末とは…?

 桜のようにはかなく、美しいラブストーリー。

 

感想

 前半はコミカルに、後半はシリアスとなっていき、本当に最後のページを読むまで手が止まらない1冊です。前半は『夢』『二人の不器用で純粋な恋』をメインにして登場人物たちに愛着をわかせておいて、後半あの運命はずるいよ!と作者の緻密な構成に唸りました(笑)

 まず、晴人の美咲への恋の想いの不器用さが面白い!「彼女のこと大好きすぎるだろ!どんだけだよ!」というくらい彼女への思いは強いです。

作戦はすでに決めてある。何気ない会話から桜の話題を振るのだ。

「好きなスイーツって何ですか?」「プリンかなぁ」「僕は桜餅!桜?いやぁー、桜の季節ですね。でも今週がピークらしいですよ。来週から雨だもんなぁ~。あ!もしよかったら一緒に桜を見に行きませんか?」

これだ、これしかない。こんなにもナチュラルかつスタイリッシュな誘い方はない。よし、これで行くぞ…い、いや、待て!桜餅からの桜への流れが強引すぎやしないか?そうだな、ここは「桜の季節ですね」からはじめよう。

  デート一つ誘うのもこれですからね。24歳男子、不器用すぎやしませんか(笑)でも彼の不器用さに笑いながらもすごく応援したくなるんです。

 最初、彼は彼女に気を引くために「プロのカメラマンだ」と嘘をつきます。好きな人の気を引きたいということで嘘をついちゃう気持ちは痛いほどわかります。「フリーター」って言いづらいんですよね。晴人のようにカメラマンという本当はなりたい姿があって、好きな人が夢に向かって頑張っているならなおさらです。私だって晴人の立場なら嘘、ついちゃいます。

 偶然ですが、わたしも晴人と同じ24歳フリーター。私なんか同級生に「今、何してるの?」と言われるだけで急にフリーターってやばいような気がして、中々「フリーター」とはいえません。嘘をついたこともあります。でも嘘つくと本当に胸が痛いんです。「なんでこんなことを…。でももう本当のこと言えない」って。もしくは言おうとしてもなかなか言えない。体が熱くなり、変な汗をかいちゃう。だから晴人の気持ちは痛いくらいわかりました。

 でも、初デートでカメラマン時代の同僚に会い、嘘がばれます。嘘ついていたこととその理由を話して美咲に怒られますが、そこから晴人は変わっていきます。

「僕はあなたにふさわしい男になって見せます!」

変わりたい。嘘つきで何事からも逃げ続けていた情けない時分から。ちゃんと自分を誇れるように。変わりたいんだ。だからー、

「だから変わります!」

晴人は拳を強く握った。

「あなたに好きになってもらえるように…」

  この決意にしびれました。不器用でなよなよした晴人に笑っていましたが、ぐっと心をつかまれました。同じタイミングで美咲も晴人にときめきます(笑)まっすぐで嘘がなく真剣な想いはやっぱり人の心を動かすんです。そこから晴人は本当にプロのカメラマンのもとで働き始め、もう一度夢のためにひたはしります。その姿と晴人の自分への熱い想いから、美咲も晴人に惹かれて、はれて二人は恋人になります!

 しかし、二人が幸せだったのもつかの間…。美咲に人より早く年を取る「早老症」とう病が襲いかかります。「発病から一年たたずに外見が老人のようになる」と医者から言われるのです。美咲はまだ24歳です。しかも「お客さんをきれいにしてあげたい」と夢見て、”美”を大切にしてきた美容師。あまりに残酷すぎる病…。

  一方で晴人は美咲にプロポーズしようと考えます。二人とも「この先もずっと一緒にいたい」という想いは同じなのに、病によって重なることができない想いには読んでいて胸がひりひりします。医者から「冬にはもう老婆になる」と言われ、美咲は大好きな仕事を辞めて、さらに晴人とも別れます。

 ここからは美咲の病状が進んでいき、”早く年を取ってしまう怖さ”に涙が止まらなくなっていきます。絶対タオル必須です(笑)

 私はここから入ってくる兄・貴司と、その婚約者・綾乃の話が特に好きです。

 貴司は必死に治療できるところを探し、詐欺にあいます。傍から見ると「絶対に詐欺だ」とわかるのにそれに引っかかってしまって、さらに詐欺だと薄々気付いてもなおそれにすがるしかない貴司の姿は読んでいて辛くなります。そして、その兄を止めるのが一番すがりつきたいはずの美咲なのです。

「わたし頑張るよ!」

美咲は歯を見せて笑った。

「病は気からって言うもんね。だから病気になんて負けないよ。自分の力で治してみせるから。」

  老いていく怖さに押しつぶされているのに、その当人が満面の笑みでこんなことを言ってきたらと思うと…。この兄妹の絆は絶対読んでほしい1つです。

 そして綾乃ですが、美咲にとって綾乃は老いていく自分のそばにいるきれいな女性です。日に日に老いていく自分と綾乃の変わらない美しさ。うらやましくて、たまらなくて、綾乃にあたってしまいます。

 綾乃も同じ女性として、そして本当の妹のように思っているからこそ、美咲の気持ちがわかるしなんとか彼女の力になりたいと思いますが、その言葉が逆に美咲を傷つけてしまいます。お互いがお互いの気持ちをわかっているのにうまくいかない。そして美咲から綾乃に別れを告げます。「妬んでしまうから、嫌いになりたくないから」別れを告げる。そして、もう会えないとわかっていても「また会おう」と約束して別れを告げる2人の姿は必読です。

 長くなりましたが、ここからいよいよクライマックスです!

 生きる希望をなくす美咲をどうにかしたいと貴司が晴人に「会ってやってくれ」と頼みこみます。そしてようやく2人は襖越しに合うことに。美咲はもう声もしわがれているため声を出せませんが、晴人の話に心の中で返事しながら会話していきます。このシーンは本当に胸を打ちます。「2人はこんなに想いあっているのに」と…。晴人に会えることで最後の生きる希望を持てた美咲。最後に彼女は晴人の写真展に行って、息を引き取ります。

 桜のようにしくき、一瞬で散っていってしまった彼女。「あまりにも早すぎる…」と思うかもしれませんが、その中で彼女は”本当に愛する人”を手に入れられました。老いてからは外に出ることも嫌になった彼女をもう一度外、つまり太陽のあるれの場所に連れて行ってくれるがいたのです。それって本当にすごいことだと思います。それだけで人生は輝くのです。本当の愛は「私は私でよかった」と思うことができる強いものだとしみじみ思います。

 桜のように儚く美しいラブストーリーをぜひ読んでみてください!

 

桜のような僕の恋人 (集英社文庫(日本)) [ 宇山 佳佑 ]

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